本研究では工学問題と応用数学と情報処理との関わりについて研究し、新しい工学教育を目指すことを目的とするものであり、その主な対象科目は水力学、流体工学、自動制御、システム工学、電気磁気、電気回路、電子回路などと、応用数学や数値解析である。 研究の初年度の今年は文部省委嘱調査研究の「短期高等教育における情報処理教育の実態に関する調査研究」報告書を参照し、その教育目標に沿った次に示す項目について研究をおこなった。 1 総合的な工学教育の完成を目指し、その「教授内容」などを調査し、機械と電気工学と数学とコンピュータ処理を融合させた教育のあり様を検討した。 2 上記1の教育科目や内容を検討し、教材開発を行った。 3 電気回路や通信方式などの電気系科目での問題に対し、市販の表計算ソフトを用いたシミュレーションの事例とその教材の開発例を示し、新しい教育方法を試行した。 4 総合的な解析能力と創造性豊かな独創的な教育研究事例として、流体工学での圧力分布が全微分式、テイラー級数、最小自乗法、ガウス・ザイデル法を組み合わせた新しい計算方法を開拓した。 5 工学問題と応用数学と情報処理との関わりを体系化した演習問題集の作成を目指し、その作業を進行中である。 これらの成果をもとに本研究の終了する平成8年度は、機械工学と電気工学と応用数学と情報処理を一層有機的に連携させながら、問題集の開発と総合的な問題解決能力を育成するための新しい工学教育を目指す。
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