研究概要 |
聴覚障害者の言語使用能力向上の自習システムの研究の一環として,手話の電子辞書システムを開発した.このシステムは,手話の初心者の自習に使うとともに,手話の表記を精密化するための詳細な分析にも使うことができる. この辞書の手話語彙は,日本の手話で日常に高頻度で現れる950語の手話単語である.このように選んだ手話単語のそれぞれに,手の位置と動き,対応する日本語の音声と文字の表記に加えて,手の形の新しい表記記号を付けてある.これらの単語を手話を母語とする一人の女性が動作したビデオ画像を,レーサディスクに記録した.この記録したビデオ画像を,計算機制御のレーザディスクプレヤを介して計算機プログラムに連結して,対応する手話語彙のびでお画像を,データベースのどの表記の項目からでも即座に検索できるようにした. ここで提案する手の形の表記記号体系は,指の動作の解剖構造モデルにもとづくもので,人差し指・中指・薬指・小指による手の形の主要な特徴と,それらの指の相互関係と,親指の特徴との組合せで構成されている. このデータベースに構文情報も導入して,それぞれの単語を他の単語と結びつけることも,計画している.さらに,連続する単語の動作の結合や,単語の持続時間や休止や顔の表情などの韻律的な特徴によって伝えられる句や文の構造の組織化についても,次の段階で組み込む.
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