研究概要 |
最終年度に当たるため,研究の総括を行い,研究報告をまとめた.その他に,以下のようなことを行った. ・加算機能メモリの開発. SRAMは,プロセッサを製造するプロセスで用意に実現することができ,また,メモリに書き込んだ値が電源を入れている限り不揮発であるので,設計・制御が用意である.しかし,計算機のメインメモリとして一般に使用されているDRAMに比べてその面積は圧倒的に大きい.ここでは,DRAMを用いて機能メモリを構成した.DRAMの高集積度の恩恵を最大限に活かすために,演算機構を2ワード毎にビットシリアルに付加した.処理としては,加算機能とそれを用いて付随的に可能な簡単なもののみに限定した.この加算機能付メモリの基本性能を確認するために3種類のLSIの設計を行い,その性能を確かめた. ・機能メモリを用いた動画像の低ビットレート圧縮. ここでは,処理をベクトル量子化を用いた動画像の低ビットレート圧縮に限定して,集積度を高めた「ベクトル量子化用機能メモリ型並列プロセッサ(FMPP-VQ)」の設計開発を行った.まず,PEの動作を確かめるために,4PEのみを集積化したLSIを試作し,その測定・評価を行った.次に,実際の動画像圧縮に用いることのできる64プロセッサを集積化したLSIの試作を行い,その測定・評価を行った.更に,並行してFMPP-VQを用いた低ビットレート動画像圧縮システムの開発を行った.ここで開発を行ったアルゴリズムを用いれば,PHSを想定した29.2kbpsの伝送路において,176×144のQCIFサイズの動画像を1秒間に10枚という十分なフレームレートで送信することが可能となる.
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