研究課題/領域番号 |
07558047
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松山 隆 京都大学, 工学研究科, 教授 (10109035)
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研究分担者 |
浅田 尚紀 広島市立大学, 情報科学部, 教授 (10167885)
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キーワード | 多重画像の統合 / 多重フォーカス画像 / 多重フォーカスカメラ / 3次元距離計測 / 実時間距離計測 / ぼけモデル / 構造化瞳 / 画像計測 |
研究概要 |
本年度は、昨年度開発した多重フォーカスカメラの改良および以下に示すハードウェア、ソフトウェア上の新たなアイデアを導入することにより、実用に供することが可能な多機能高精度カメラシステムを実現した。これにより、本研究の目的は十分達成できたといえる。 1.多重フォーカスカメラの光学的改良:昨年度開発した多重フォーカスカメラでは、レンズに入射した光がRGBの3色に分光されるため、色の付いた対象の距離を測ることができなかった。本年度開発した2号機では、色分解が生じないように分光プリズムの反射・透過特性を設計しなおし、色分解を行うことなく入射光を丁度1/3ずつに分けるプリズムを導入した。これによって、対象に色が付いている場合でも距離が測れるようになり、実用レベルの多重フォーカスカメラが実現できた。 2.構造化瞳の導入:多重フォーカスカメラの前面焦点位置に、空間的パターンを持った開口(構造化瞳)を装着したカメラシステムを開発した。このシステムでは、フォーカス変化によって像の大きさが変わることがないため、3次元距離計測処理が簡素化・高速化される。 3.構造化瞳付き多重フォーカスカメラによる3次元距離画像と完全合焦画像の計測:昨年までの距離計測アルゴリズムでは明度エッジにおける3次元距離しか測れず、テクスチャを持った対象表面の3次元形状は計測できなかった。この問題を解決するために、2で開発した構造化瞳付き多重フォーカスカメラによって撮られた、ボケの度合いが異なる3枚の画像から3次元距離画像とボケのない完全合焦画像を求める新たなアルゴリズムを考案し、実験によってその有効性を実証した。これにより、近距離から遠距離まで非常に幅広い奥行き範囲の3次元距離が1台のカメラによって、受動的かつ1/30秒間隔で測ることができるようになり、その実用的価値は大きいといえる。
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