研究概要 |
本研究は,生物学における学術情報の公開・共有を目的として,日本産アリ類,および原生生物に関する画像等を広域データベース化しネットワーク上で公開している。 アリデータベースは日本蟻類研究会との共同によるもので,アリ生体標本のカラー写真,種の記載,都道府県別に調査した各種ごとの分布データ等をデータベース化した。原生生物データベースは,各地の原生生物研究者が制作した画像等を収集しデータベース化した。 アリデータベースは,構築当初から外部の評価は高く「ユニバ-シティ・ミュージアムの設置について」という学術審議会の報告書(1996)の中で学術標本画像データベースのモデルケースとして紹介されている。 現在までにアリ類については258種,588枚の画像と分類学的記載データを,原生生物については,115種,2120枚の画像と分類情報をデータベース化している(ファイル総数21000余)。 アリ,原生生物ともに日本語版と英語版両方がありアクセスは国内外からある。アクセスの増大に対応して,他大学・研究所にミラーサーバを計12台設置した。 この他,データベースの内容をCD-ROM化して一般に無償配布している。これは,通信速度の遅いネットワーク経由で画像データベースを利用するのは不便である,とくに小中高校などの授業で生徒が一斉にネットワーク経由で利用するには無理がある,また,現状ではネットワークを利用できない人も大勢いる,などの問題をクリアするために始めた。CD-ROMはMacintosh,WINDOWS,UNIXにマルチ対応したハイブリッド版を製作した。 アリ類CD-ROMは1000枚余が配布済みで,原生生物CD-ROMは第一版1000枚の配布が完了し,第二版はこれまでに2700枚余を配布している。 配布先のほとんどは,研究者,および小中高校の教員であり,郵便費用を節約するために,グループ配布に協力してもらっている。CD-ROMの配布は,中高校の教員から教材として有用であるとの反響を得ており,今後このような形での教育分野への情報提供が増えると予想される。
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