研究概要 |
大気中の二酸化炭素濃度の増加による地球温暖化問題の解決には,燃焼により搬出されるCO_2の吸収,固定,処理および貯留に関する要素技術を開発し,その技術の最適化を計ることが重要であるが,特に最も重要な因子であるCO_2の動的挙動について把握するための計算手法,すなわち,高い時空間分解能を有するCO_2の光学計測法がないのは,CO_2分子が前述のレーザ発振波長に吸収帯がない分子に属しているために生じている.本研究はレーザ光の多光子吸収法を適用することによりCO_2の誘起蛍光を用いた高感度・非接触計測システムを試作することを目的として研究を行った。この方法は,通常のレーザ発振波長域より極短波長紫外側にある分子の吸収帯で多光子吸収を生じさせ,これにより生じる誘起蛍光のスペクトルならびに強度を計測することにより,レーザ光非吸収化学種の検出を行うものである. 具体的には,二酸化炭素(CO_2)と窒素の混合ガスに,YAGレーザの発振波長をCO_2の極短波長紫外領域にある吸収帯に対して多光子吸収するように同調させて入射させた.レーザ光を多光子吸収して得られる誘起蛍光スペクトルの分光計測を分光器とイメージインテンシファイアを装着したCCDカメラを組合わせたシステムにより行った.その結果,CO_2の濃度に依存した蛍光のスペクトルを検出することに成功した.また,蛍光スペクトルに及ぼすCO_2濃度の影響,レーザ光パルスエネルギーの影響,ガス圧力の影響について明らかにした.
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