本年度は、微量He原子測定装置の測定下限向上の為の改良を平成8年度から引き続き行い、同時に本装置の中性子線量測定への適用性確認を行った。具体的には、(1)本装置を用いたHe測定におけるバックグラウンドの改善を、真空排気系のリ-クテストおよびベ-キングにより行った、(2)パルス計測による装置のHe測定下限値の評価を行った、(3)標準照射場で中性子照射を行ったB試料のHe生成量測定を行った。以下に本年度の実績を列記する。 1.微量He原子測定装置のリ-クテストをフード方で行い、微小リ-クを検出し改善装置を行った。その後、装置容器を125℃、電気炉内部を300℃で48時間ベ-キングし、質量分析部で8X10^<-9>Pa、電気炉部で3.5X10^<-7>Paの真空度が得られた。 2.バルスカウントSEMを具備した質量分析計で、He含有量測定をパルス計測により行った。その結果、7X10^7〜10^<10> He atomsの範囲の標準Heガスを測定することが出来た。本質量分析計では、Heの電流値による測定も可能である。電流測定によるHe測定範囲は、?10^9〜5X10^<15> He atomsであり、電流測定とパルス測定を使い分けることによって、7X10^7〜5X10^<15> He atomsの広範囲でのHe測定が可能となった。 3.弥生炉の標準照射場で中性子照射済みのB試料のHe生成量測定を行った。測定結果を動力炉・核燃料開発事業団所有のHe測定装置による同様の試料の測定結果および照射化箔の反応率から求めたB試料のHe生成量と比較した。本測定結果と動燃測定値は誤差の範囲で一致しており、放射化箔からの計算値との比較においては概して一致性が得られた。これらの結果より、微量He原子測定装置による中性子線量測定結果の妥当性が示された。B試料のHe含有量は、2X10^<12>〜2X10^<14> He atomsの範囲であった。
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