研究課題/領域番号 |
07558080
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
桧枝 光太郎 立教大学, 理学部, 教授 (20062656)
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研究分担者 |
高倉 かほる 国際基督教大学, 教養学部, 講師 (80052281)
横谷 明徳 日本原子力研究所, 大型放射光施設開発室, 研究員
高松 肇 (有)京和真空機械制作所, 技術部長
宇佐美 徳子 高エネルギー物理学研究所, 放射光実験施設, 助手 (60232807)
小林 克己 高エネルギー物理学研究所, 放射光実験施設, 助教授 (20114077)
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キーワード | 軟X線 / 放射光 / 電子線 / 生物効果 / 培養細胞 |
研究概要 |
すべての放射線は多くの低速電子を作り、それが引き起こす電離・励起が生物作用の主要な原因となっている。この意味で、放射線生物作用の初期過程の解明のためには、低速電子の生物効果の研究は必須である。しかし、低速電子の実験は技術的に極端に困難である。そこで、あらゆる物質にきわめて強く吸収される低速電子線を直接照射する代わりに、単色超軟X線照射によって試料中に生じる光電子(エネルギー分布は既知)を低速電子源として利用しようというのが、本試験研究である。具体的には、高エネルギー物理学研究所放射光実験施設ビームライン12A(KEK PF BL-12A)で得られる、200-800eV領域の単色超軟X線を、生細胞を含む湿潤生物試料に照射する方法を開発しようというものである。ビームラインでは、分光器は超高真空仕様(10^<-8>Torr以下)であり、さらに真空度の良い(10-^<11> Torr)陽電子蓄積リングに直結しているため、大気圧下の湿潤試料が、これらの超高真空を悪くする事故の原因とならないような万全な措置が必要となる。そのため、分光器の下流に差圧系を介して、大気圧のHeガスを流した状態で湿潤試料を照射するための一連の装置を新たに作製た。作成した照射装置を、KEK PF BL-12Aに設置し、実際の性能テストおよびヒト培養細胞の照射実験が2回実施できた。その結果、今後の本格的な実験のための予備実験としては、十分な基礎的知見が得られた。本研究によって、放射線生物学の長年の夢であった低速電子の生物効果に関してヒト培養細胞も含めて湿潤試料の研究が可能になり、世界に先駆けて、低速電子の生物効果についての系統的な基礎的データが得られることになった。
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