研究課題/領域番号 |
07558082
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研究種目 |
試験研究(B)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
奥脇 昭嗣 東北大学, 工学部, 教授 (70005320)
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研究分担者 |
斉藤 秀史 日本化成(株), 企画開発本部研究所, 主任研究員
吉岡 敏明 東北大学, 工学部, 助手 (30241532)
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キーワード | 廃PET / アルカリ加水分解 / 酸素酸化 / 再資源化 / テレフタル酸 / シュウ酸 |
研究概要 |
廃プラスチックのリサイクルでは、回収コストや再生品の製造コストが高く、新原料を用いた場合よりも再生品の方がコスト高になる。PET樹脂のような解重合し易いプラスチックも例外ではなく、現行のメタノリシスやグリコリシスは、反応条件が高温高圧でプロセスが複雑なことからこの問題が指摘されている。本研究では、廃PETボトルのフレークをアルカリ加水分解・酸化することにより、現行プロセスで得られるジメチルテレフタル酸とエチレングリコール(EG)より高価なテレフタル酸(TPA)とシュウ酸に化学転換することを目的とし、本年度はその最適条件について検討した。 NaOH濃度1〜40mol/kg-H_2O(m)、150〜250℃、酸素圧1〜10MPaで5時間までの処理により、PETは、先ずTPAとEGに加水分解され、同時にEGのみが塩基触媒酸素酸化によりシュウ酸に酸化された。この時、TPAはナトリウム塩として沈殿するため、酸化されず定量的に回収された。一方、シュウ酸収率は250℃、酸素圧5MPa、5時間で、NaOH濃度27.5mまでは濃度に対し比例して増加し60.7%に達したが、それ以上ではアルカリ溶液中に対する酸素の溶解度が低下するため、低下した。また、酸素圧5MPaまでは、酸素圧の増加とともにシュウ酸収率は増加したが、それ以上ではシュウ酸がCO_2に酸化されるため、低下した。シュウ酸収率が最高でも60.7%にしか達しなかったことは、オートクレーブ内の気相中のEGが影響するため、今後、仕込量など、機構解明の条件を設定し、シュウ酸収率の向上を検討する必要がある。本年度の成果として得られた、本プロセスの最適条件は、250℃、NaOH濃度27.5m、酸素圧5PMa、5時間であった。
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