研究分担者 |
浦瀬 太郎 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (60272366)
神山 義康 日東電工(株), メンブレン事業部, 開発センター長
中尾 真一 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (00155665)
大垣 眞一郎 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (20005549)
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研究概要 |
都市における新たな水資源として、地下水を有効利用する場合を想定し、低圧力で稀薄溶液を処理する膜分離法を開発した。1気圧の低圧運転でも90%の脱塩率と0.2m/dのフラックスを得ることができた。重金属(As,Cr,Pb,Sb),種々の分子量の有機物,揮発性有機塩素化合物の阻止率を測定した。重金属の阻止率は、1気圧以下の超低圧条件であっても80%以上であった。微量有機化合物については、溶質サイズと阻止特性の解析をおこなった。フェノール系の物質は、そのサイズに比較して特異的に阻止率が低いことを明らかにした。 海水相当濃度の3wt%から淡水回収率75%を想定して、逆浸透膜,ナノろ過膜について、高圧、高濃度下でのNaCl阻止性能、膜透過流束を測定した。純水透過係数、溶質反射係数、溶質透過係数を圧力、濃度の関数として決定し輸送方程式の基づいて膜性能を定量化した。この結果を用いて、高回収率海水淡水化プロセスのシミュレーションを行った。 ナノろ過膜の分離機構としては、ふるい(サイズ)効果、荷電効果、膜との親和性の3つの主要要因が考えられる。環境中の物質のナノろ過で問題となる各種の汚染物質についてどの効果がどのくらい影響を及ぼしているのかを、検討した。Extended Nernst Planck式では説明できない硝酸イオン-塩化物イオンで代表される1価イオン相互の阻止率の差について、膜/液界面での分配係数を別に定めることにより硝酸性窒素の阻止現象を良好に記述することかできた。また、リン酸イオンの透過についても理論的な解明を行った。
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