研究概要 |
1.フラッシュエバポレーター,恒温循環水槽,冷却水循環装置,バキュームコントローラー,マルチタイマー,基質液送ポンプ,フルテフロンダイヤフラム式減圧ポンプを購入し,非水系バイオリアクターを試作した。 2.リパーゼPS2.99gとラセミ体ヘプタヘリセンジオール100mgを用いて,上記バイオリアクターによる鏡像体区別反応を行なったところ,光学純度98%の(P)-(+)-ヘプタヘリセンジオールを44.7mg得ることに成功した。この反応で生成したヘリセンジオールのモノアセテートは40.9mg,ジアセテートは15.1mgであった。モノアセテート,ジアセテートの加水分解により,(M)-(-)-ヘプタヘリセンジオールをそれぞれ光学純度80%,95%で得ることができた。 3.リパーゼCALを0.5g用いた鏡像体区別反応では,100mgのラセミ体ヘプタヘリセンジオールから光学純度92%の(M)-(-)-ヘプタヘリセンジオールが43.7mg得られることを見い出した。さらに,モノアセテート,ジアセテートの加水分解により,(P)-(+)-ヘプタヘリセンジオールをそれぞれ光学純度70%,87%で得ることに成功した。 4.この新規キラルヘリセン分子の比旋光度は,(P)-(+)-体が+1973°,(M)-(-)-体が-1965°と極めて高い値を有することを明らかにした。以上のようにリパーゼを使い分けることにより,(ビスヒドロシキメチル)[7]チアヘテロヘリセンの両方のエナンチオマーを高純度で,しかも多量に合成することに成功した。これらの光学活性(ビスヒドロシキメチル)[7]チアヘテロヘリセンを用いた新しい不斉反応の研究が大いに期待される。
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