研究概要 |
フラッシュ・エバポレーター,恒温循環水槽,冷却水循環装置,バキュームコントローラー,マルチタイマー,基質液送ポンプ,ダイヤフラム式減圧ポンプ(7年度研究経費にてすべて購入済み)を用いて,研究分担者吉田安子氏の協力により非水系酵素固定化バイオリアクターを試作した。 (イ)ラセミ体のヘプタヘリセンジオールの多量合成には,光反応装置を頻繁に使うため,装置の改良を併せて行なった。上記の冷却水循環装置と光反応槽とを接続することにより,光反応の温度を自動的にコントロールをすることができた。このためラセミ体のヘリセンジオールの合成が極めて容易となった。また,ラセミ体のヘプタヘリセンジオールをエタノールから再結晶すると,結晶中にエタノール分子が1対1の割合で取り込まれること,同じヘリシテイを有するヘリセン分子がそれぞれb軸方向に重なってカラムを形成していることがX線結晶構造解析により明らかとなった。 (ロ)ラセミ体のヘプタヘリセンジオールを用いて,研究分担者中村 薫助教授とともにバイオリアクターを用いてグラムスケールの光学分割を行なった。ラセミ体ヘプタヘリセンジオール1.00g.リパーゼCAL2.5g,ビニルアセテート20mlを用いた鏡像体区別反応により光学純度98%の(M)(-)-ヘプタヘリセンジオールを442mg得ることに成功した。以上のように,申請者が開発した手法により,配位性官能基を持つヘプタヘリンセンジオールの多量合成が可能となった。このような螺旋分子の構造や性質,反応性の研究は極めて興味ある新研究領域であり,今後の研究が多いに期待される。
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