研究概要 |
I)抗菌物質の化学構造の決定:半枝蓮の粗抽出画分から単離精製した抗菌物質2種の化学構造について,Apigenin,Luteolinと同定した. II)抗菌スペクトルの作成:ApigeninのStaphylococcus aureus標準株に対するMIC値は供試27株中21株において3.9〜15.6μg/ml,他の6株は250μg/ml以上であった.Luteolinについては菌株による差はなく,62.5〜125μg/mlであった.また,MIC値以下の濃度のApigeninにより,MRSAに対するmethicillinの抗菌作用が著しく改善されることを見出した. III)MRSAに対する抗菌物質の作用機作の解析:MRSAに対するGallic Acidの作用機作について解析を行い,以下の事実を明らかにした. 1)Gallic Acidの化学構造と抗菌活性との関係について,カルボニル基,ならびにそれとパラ位の位置にある水酸基が重要であることを明らかにした. 2)Gallic Acid抵抗性であるS.epidermidisがS.aureus共存下では感受性を示すことを見出し,S.epidermidisに対するGallic Acidのこの抗菌作用が,S.aureus菌体外分泌物質との共同作用によるものであることを明らかにした.また,この結果に基づいて,S.aureusに対するGallic Acidの選択的な抗菌作用発現には,S.aureus菌体外分泌物質との共同作用が重要な役割を演じていることを示唆した.
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