X線結晶解析法による蛋白質の立体構造解析では、最低限、単結晶からのX線回折強度を測定する必要がある。最近ではこの反射強度測定を、2次元検出器であるイメージングプレートを用いた写真法によって行っている。しかしながらこの方法では、大容量の画像データそのものの保存が必要である。本研究では、現在のX線解析用イメージングプレートデータ(8.5メガバイト)が、大型イメージングプレートを用いることにより、4倍の64メガバイトになることを想定して、その画像データの高圧縮方法について検討し、開発を行う。方法は2次元フーリェ変換を応用し、画像データのRGB信号の代わりにフーリェ係数のみを保存する。 回折画像を圧縮するウォルッシュ・アダマ-ル変換アルゴリズムをプログラミングした。圧縮変換としては他に離散フーリエ変換がある。離散フーリエ変換は高速変換(FFT)が可能であるが、圧縮効率が悪い。予備的なテストの結果では、離散フーリエ変換よりもウォルッシュ・アダマ-ル変換の方が高圧縮であった。そこでコンピユ-タメモリを増強し、ウォルッシュ・アダマ-ル変換にFFTを組み込んだアルゴリズムの開発を行った。現在、計算機の主記憶メモリをさらに増強し、画像データを主記憶上に展開するようにデータの高速読みとり、および変換部分のコア部分を開発中である。また、既存のアルゴリズム等を組み合わせることにより、予備的アルゴリズムルーチンを作り、実際の回折画像データの圧縮、復元を行った。上述のコア部分とこの予備的ルーチンとの接合を現在検討中である。
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