X線結晶解析法による蛋白質の立体構造解析では、最低限、単結晶からのX線回折強度を測定する必要がある。最近ではこの反射強度測定を、2次元検出器であるイメージングプレートを用いた写真法によって行っている。本研究では、現在のX線回折用イメージングプレートデータ(8.5メガバイト)が大型イメージングプレートになることを想定して、その画像データの高圧縮方法について検討し、開発を行う。方法は2次元フーリェ変換を応用し、画像データのRGB信号の代わりにフーリェ係数のみを保存する。 回折画像を圧縮するプログラムをプログラミングした。圧縮変換として離散フーリエ変換があり、高速変換(FFT)が可能であるが、圧縮効率が悪い。予備的なテストの結果では、離散フーリエ変換よりもウォルッシュ・アダマ-ル変換の方が高圧縮であった。そこでコンピュータメモリを増強し、ウォルッシュ・アダマ-ル変換にFFTを組み込んだアルゴリズムの開発を行った。また、昨年度のプログラムを拡張して、データ読み込みから圧縮までの一貫プログラムを完成させた。フーリエ変換を行う際、ピクセル数は縦・横が等しくなければならない。放射光施設で得られるデータは2048×4096ピクセルの8ビットデータである。そこで、正方形のデータを仮想的につくりテストを行った結果、係数成分のみを保存するファイルを作ることができた。しかし、このファイル自身の容量が元の画像データの容量程度あり、現在はこれをUNIXの圧縮コマンドを用いて圧縮している。プログラムの動作時間は、まだ最適化を行っていないため、1枚の画像を処理するのに約5分かかっている。圧縮効率は約10分の1である。
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