近接場顕微鏡を倒立蛍光ノマルスキー顕微鏡上に構築し、両者のインターフェースを完成させた。これによって、蛍光やノマルスキー顕微鏡法を用いて、試料のなかで見たい部位を見つけ、次に、その部位を近接場顕微鏡でさらに10倍拡大して、高分解能で観察する、という手順での観察ができるようになった。光学的な回折限界の分解能での蛍光・ノマルスキー観察と近接場顕微鏡観察が同時にできるようにしたのは、これが世界で最初である。 具体的には、光ファイバーを曲げてカンチレバ-型にしたものの先端に40-150nm程度の開口を設けた。透過モードによる観察の場合には、開口の小さいものを用いて分解能をかせいだ。蛍光モードの場合には、開口をやや大きくして分解能をやや落としても、蛍光の励起強度を増した方が、全体としての性能はよかった。試料からの蛍光、または、散乱光を、通常の光学顕微鏡の対物レンズ(63倍または100倍)で集光して、顕微鏡につけた光電子増倍管に導き検出するようにした。また、試料とカンチレバ-は、光学顕微鏡で観察しながら、位置を調節できるようにした。 培養細胞のアクチン線維を蛍光染色し、水溶液中での観察、及び、乾燥させた後に大気中での観察をおこなった。原子間力顕微鏡タッピングモードによる形態像と近接場蛍光モード/光散乱モードによる光学像(形態像と光学像は同時観察できる)とを対比させる事が可能である。結果は、細胞膜と細胞骨格との相互作用の研究に近接場/原子間力顕微鏡はきわめて有用であることを示すものであった。
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