研究課題/領域番号 |
07558108
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
神経科学一般
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研究機関 | (財)大阪バイオサイエンス研究所 |
研究代表者 |
裏出 良博 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 第2研究部, 副部長 (10201360)
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研究分担者 |
金岡 禧秀 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 研究員 (40271514)
松村 人志 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 副部長 (50173886)
早石 修 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 所長, 部長 (40025507)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1997
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キーワード | 睡眠 / 覚醒 / プロスタグランジンD2 / プロスタグランジンD合成酵素 / 遺伝子工学 / ノックアウトマウス / トランスジェニックマウス / X線結晶解析 |
研究概要 |
プロスタグランジンD2は、ラットおよびヒト脳における主要プロスタグランジンであり、現在までに同定された数十種類の睡眠物質の中で最も強力な睡眠誘発作用を示し、ヒトの睡眠病や肥満細胞増多症の患者の睡眠発作にも関与すると考えられている。 本研究では、内在性睡眠物質であるプロスタグランジンD2の生合成を遺伝子工学の手法を用いて操作し、遺伝的な睡眠障害動物の作成を試みた。まず、プロスタグランジンD2の生合成反応を触媒する二種類のプロスタグランジンD合成酵素、すなわち、中枢神経系や雄性生殖器に局在し生理的睡眠調節の鍵を握ると考えられているリポカリン型酵素と、免疫系や消化器・皮膚などの末梢臓器の抗原提示細胞や肥満細胞に分布する造血器型酵素のマウスとヒトのcDNAおよび遺伝子のクローニングを行った。その結果、両酵素のアミノ酸配列には全く相同性が認められず、リポカリン型酵素は各種の分泌蛋白質で構成されるリポカリンファミリーに属する唯一の酵素であり、造血器型酵素は脊髄動物で発見された最初のシグマ型のグルタチオン転移酵素であることを見いだした。従って、両者は異なる起源から進化し、その過程で活性中心アミノ酸の空間的相同性を獲得し同じ触媒機能を果たすようになった「機能的相似」の新しい例であると考えられる。さらに大腸菌を用いて発現させた遺伝子組換え型両酵素の結晶化に成功し、X線結晶解析により造血器型プロスタグランジンD合成酵素の三次元構造座標を決定した。又、ヒト型の両酵素を大量発現するトランスジェニックマウスおよびリポカリン型プロスタグランジンD合成酵素遺伝子を欠損したノックアウトマウスの作製を行い、これら遺伝子変異マウスの睡眠量や睡眠内容の判定を行うマウス用の睡眠バイオアッセイシステムを完成させた。
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