研究課題/領域番号 |
07558137
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
深代 千之 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (50181235)
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研究分担者 |
安部 孝 東京都立大学, 理学部, 助教授 (90184217)
川上 泰雄 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (60234027)
船渡 和男 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (60181442)
福永 哲夫 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (40065222)
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キーワード | 中高年 / 歩行 / トレーニング |
研究概要 |
近年、老年学の領域では「寿命の延長」より「長寿の内容」が問題にされている“successful aging(理想的な長寿)"。この「理想的な長寿」すなわち高齢になっても健全な社会生活を営むためには、自ら自分の力で移動できること「歩行能力」が最も大きな課題となる。このような観点から、高齢者を対象とした歩行の研究がこれまで数多く行われてきた。例えば、高齢者の歩行パターンが若年者と異なることや、女性は男性より(身長や体重に関係なく)歩幅が短く歩調が早いこと、そして加齢に伴う変化は男性とほぼ同様で、高齢者ほど歩幅が小さく、両脚支持時間が長くゆっくり歩くことなどが明らかになった。しかしながら、加齢に伴う体力低下が歩行能力に反映する、あるいは逆に歩行能力の低下が運動不足を引き起こし高齢者の体力低下に結びつく、という「体力と歩行能力の因果関係」は、明らかになっていない。 そこで本研究では、中高年者9名を対象に、体幹と下肢のレジスタンストレーニングを行った場合の「筋力増加」と「歩行動作の変化」の対応を検討した。レジスタンストレーニングによって、膝伸展筋力が有意に増大した。しかし、中高年者の歩行において、脚伸展筋力が増大したからといって自由歩行におけるストライドが伸び、ピッチが速まるということはなかった。ただし、歩行動作それ自体をみると、トレーニングで膝伸展筋力が増すことによって、歩行の両足接地期における股関節はあまり開かずに、脚接地時と踏み出し時の膝関節がより伸展するという変化が認められた。したがって、「脚のレジスタンストレーニングで筋力が増大すれば、膝がしっかり伸びる歩行動作となる可能性」が本研究により示唆された。
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