研究分担者 |
益子 典文 鳴門教育大学, 学校教育学部, 助手 (10219321)
宮本 友弘 放送教育開発センター, 研究開発部, 助手 (90280552)
芝崎 順司 放送教育開発センター, 研究開発部, 助手 (60270427)
福井 康雄 放送教育開発センター, 研究開発部, 教授 (70270428)
|
研究概要 |
本研究は,パソコンを利用した新たな映像教材制作環境であるデスクトップビデオを用い,初人者向け教師教育用映像教材の開発・制作を行うことを目的としている。本年度は,教師の力量の問題およびデスクトップビデオ編集の基礎的事項について検討した。 教師の力量研究については,教職経験が豊富な授業者(15年程度)と,教職経験が未熟な授業者(教育実習生)の算数の授業の違いを比較し,学部生対象のビデオ教材を制作するために必要な情報について検討した。その結果,次のような知見が得られた。第一は,初心者は授業を設計・実施するための知識が未熟であるため, 彼らに授業の設計・意志決定場面を理解さてることは困難であること。第二は,授業経験者が授業の評価に使う言葉は多義的であること。特に,特徴的なことは,ある授業場面に対する評価よりも,授業全体に対する評価を多義的な言葉で表現することである。このような知見から,今後,授業場面で使われる個々の技能を学習させるよりも,どのようにすれば「理解」することができるかを支援することが重要になってくると考えられる。また,授業場面の評価のために使われる多義的な「言葉」の構造の分析は今後の課題である。 デスクトップビデオ編集システムについては,今年度は特にノンリニア編集の可能性に焦点を当て教育工学,および,認知心理学の観点から評価・検討を行った。その結果,次のことが明らかになった。 ・本システムによって,映像一般の制作現場で示唆されてきたことと同様に,映像教材開発においてもそのプロセスが効率化される。また,授業場面の映像教材を教授・学習の有機的な単位で組み替えることが容易になり,教師の力量性を構成する各要因に応じて,マクロな視点で同一授業をさまざまに映像教材化できる。 ・素材映像のあるフレームを静止画としてマルチウインドウでカタログ化する本システムのユーザー・インターフェースは静止画として提示するフレームが素材の発端部である方がその他の部分であるよりも効果的に機能する。
|