本基盤研究では、ネットワーク上に分散した多様なマルチメディアデータを利用するための技術的課題について研究をすすめてきた。インターネット上のデータベースは年々非常な勢いで増加しつつあり、その中から必要なデータを選び出すことが困難となってきており、高度の検索機能が必要とされている。地理データはとくにマルチメディアデータベースでの問題点が顕著に現われるため、この課題の研究開発の対象とした。ネットワーク上に分散しているデータには何らかの形で地理的情報を持っているものが多く、地理データベースに関連した情報は膨大なものとなっている。出力としての地図は分かりやすい利用者インタフェースとして重要である。 本研究では次の3点を中心として一般的な基礎研究と共に、インターネット上でのデータ検索および地理データを対象とした実用システムの開発を行なった。 1.マルチメディアおよびハイパーメディアデータを必要に応じて分解する機能 2.種々の情報源から得られたデータを利用者の求める形に合成する機能 3.得られたデータでは利用者の求める形に合成できない場合、それが容易にわかるような出力表示および質問を改良するのを補助する機能 メディアオブジェクトの分解合成のためには、オブジェクトの性質を明らかにすることが重要で、時間ないしは空間方向に広がるメディアオブジェクトは任意の部分を切り出してもメディアオブジェクトとなる複合オブジェクトやpart-of関連との関係を含めて研究した。シソ-ラス演算や質問との干渉問題、質問作成過程の再利用、および新しいシソ-ラスとして共起関連を用いた手法を提案した。また、地図合成の時間削減のため、暫定的な合成や利用者の作業中に合成する並行合成方式を開発している。
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