研究課題
基盤研究(B)
この研究は、既存の震害予測手法を「震害疑似体験メディア」のなかに集約し、地域行政の地震対策を支援するツールを開発することを目的とした。メディアの利用者には、地域行政の防災担当者を想定した。研究は次の3段階で進めた。研究の第1段階では、メディアの利用形態、被害予測項目、被害予測手法、入出力データについて検討し、メディアの全体像を構築した。メディアには、対象地域内の基準点における任意の震度対し、地域内の被害の総量と分布を定量的(数値的)に評価し、防災担当者による「地震災害の定量的イメージ作り」を支援する機能を付与することにした。第2段階では、任意の入力地震を設定し、仮想の地域データベース上で運用されるメディアのプロトタイプを構築した。このプロトタイプは建物、ライフライン(電気、水道、都市ガス)、死傷者、火災(出火件数)などを含む15項目に関する被害量を推定するものとなり、メディアが必要とする数値処理機能をほぼ実現したものになった。第3段階では、新潟県長岡市を対象地域として具体的な地域データベースの開発を行い、メディアの地域特化を試みた。第3段階においてはまた、メディアの実用化に向けた検討を行い、利用者インターフェイスのビジュアル化による訓練メディアとしての機能の充実、対象事象の拡大(瞬時被害から継続被害へ)による復旧活動を視野に入れた機能強化、地震計との連動による被害推定のオンライン化などの方向性を提示した。
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