研究概要 |
軽水炉に使う二酸化ウラン燃料の高燃焼度化に対応して,FPガス放出の低減とともに酸素ポテンシャル(p(O_2))上昇を抑えるために,低原子価金属Mを加えて燃料をM_yU_<1-y>O_<2+x>固溶体とすることにより,UO_<2+x>とは異なりxの負値に幅広い不定比領域をもち,この領域内でp(O_2)は低い値に保つことができる核燃料の製造に関する研究を行った.本年度は,MgおよびEuあるいはNbを含む固溶体のp(O_2)や固溶度ならびにM_yU_<1-y>O_<2+x>の形態について調べた.Mg_yU【product】-yO_<2+x>固溶体の場合,p(O_2)の急変点がx≦0の領域に現れた.Mg_yEU_zU_<1-y-z>O_<2+x>の場合,zの増加につれて,xは負の方向へ,p(O_2)は増加する傾向が見られた.また,M_yU_<1-y>O_<2+x>はy<0.02に固溶限があり,それ以上では一旦2相になり,y=0.15において再固溶する様子が見られたが,Nbを添加した場合にも同様な挙動が見られた.さらに,TEMによりMg_yU_<1-y>O_<2+x>を観察すると.粉末X線回折において単相である固溶体中に,僅かながらMgO相が確認されるとともに,EDXスペクトルを用いて固溶体相中のMgを定量的に分析することができた.一方,H_2雰囲気,1200℃において調製したMg_yU_<1-y>O_<2+x>固溶体のyに対する密度の変化は,MgOが格子間および格子上に存在する可能性を示唆した.
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