研究課題/領域番号 |
07558188
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
寺井 隆幸 東京大学, 工学部・附属総合試験所, 助教授 (90175472)
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研究分担者 |
河村 弘 日本原子力研究所, 大洗研究所, 室長
小野 勝男 東京大学, 工学部・附属総合試験所, 助手 (20160905)
米岡 俊明 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (40013221)
大津 繁樹 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (30272397)
田中 知 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (10114547)
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キーワード | 核融合炉 / ブランケット / セラミック / コーティング / Al_2O_3 / Y_2O_3 / AlN / スパッタリング |
研究概要 |
核融合炉液体ブランケット用セラミックコーティングにおいては、大量生産が容易であること、液体金属との両立性やトリチウム透過バリアー、絶縁性バリヤ-としての機能が使用条件下において長時間にわたり確保されることが重要である。本研究では、いくつかの候補材料を選定し、それらの材料について実際にコーティングを試作したのち、その形態・化学組成・物性などの測定と評価を行い、核融合炉液体ブランケット用セラミックコーティングの製造方法を確立することを目的として研究を行った。その成果は以下のようにまとめられる。 (1)セラミックコーティング用材料の選定:熱力学的安定性の検討やバルク材料を用いた実験により、Li17-pb83に対しては、Al_2O_3,MgO,Y_2O_3などが候補材料として挙げられ、その中で電気絶縁特性が優れていることからAl_2O_3とY_2O_3が第一候補材料として選定された。一方、金属リチウムに対しては、Y_2O_3を除いて腐食耐性を持つものは酸化物中には見いだされず、窒化物についても検討した結果、AlNが候補材料として選定された。 (2)セラミックコーティング用材料の核融合炉環境下における物性変化:上記のように選定された材料の高温液体金属共存実験後の電気特性変化を測定したところ、Y_2O_3については、高温液体金属リチウム接触時に、還元により亜定比化合物が生成し、その結果電気伝導性を生ずることが見いだされた。また、高温放射線照射下では、照射誘起電気伝導により、コーティングの絶縁特性が大きく劣化する可能性があることが結論された。 (3)セラミックコーティングの試作とその実用性についての評価:上記の結果をふまえ、いくつかの方法によりAl_2O_3,Y_2O_3,AlNなどのセラミックコーティングの作製を行い、その特性を測定した。その結果、プラズマ溶射法については、生成速度は大きいが、内部に生成する気孔をいかに取り除くかが重要であると指摘された。ディップコーティング法では、特にAlNコーティングの場合に、いかに効率よく窒化を行うことができるかが重要な検討課題であると結論された。さらに、スパッタリング法では、下地の処理が必要であるという結論が得られた。そして、最終的に、現時点でもっとも望ましいコーティング方法は、Li17-Pb83に対してはAl_2O_3のディップコーティング法であり、金属リチウムに対しては、ディップコーティング法やスパッタリング法でAl層を生成した後にスパッタリング法やCVD法によってAlN層を生成する方法であると結論された。
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