研究課題/領域番号 |
07558203
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
環境影響評価(含放射線生物学)
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
山本 博 金沢大学, 医学部, 教授 (00115198)
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研究分担者 |
細野 隆次 金沢大学, 医学部, 教授 (40019617)
山田 外史 金沢大学, 工学部, 教授 (80019786)
谷本 能文 広島大学, 理学部, 教授 (10110743)
米倉 秀人 金沢大学, 医学部, 助教授 (80240373)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1997
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キーワード | 変動高磁場 / 線虫 / DNA合成 / ミスマッチ修復 / 転写 / 熱ショック |
研究概要 |
平成7年度以降三年度にわたる研究は当初計画通りに順調に進行し、以下の成果が得られた。 1.ビデオ監視記録装置付き交流高磁場発生装置ならびに放射線管理区域内で使用可能な小型高磁場発生装置の作製に成功した。いずれも冷却灌流装置付きで±0.5℃以内の高精度で磁場空間を生理的温度に保つことができる。 2.種々の発生段階に同調培養した線虫にピーク値1.7テスラの高磁場を印加した結果、(1)孵化後の体長増加と産卵開始時期が非印加群に比し遅延する傾向が認められたが、いずれの形質も一定時間後には正常に復した。(2)(a)咽頭筋のポンプ運動、(b)蛇行運動、(c)飼料への走化性が減弱し、通常では認められない逆行運動や運動鈍麻が観察されたが、いずれの変化も一過性で可逆的であった。(3)高磁場暴露群と非暴露群で寿命の長さに有意な差は認められなかった。 3.(1)1テスラ変動高磁場は、DNAポリメラーゼによる試験管内DNA合成の速度、エラー率、滑り複製にほとんど影響をおよぼさなかった。(2)mutS産物に依存するミスマッチ修復、(3)RNAポリメラーゼによる転写反応の速度・忠実度も高磁場印加の有無で差がなかった。 4.熱ショックポロモーター下流にレポーター遺伝子をもつトランスジェニック線虫に高磁場を印加すると、当該遺伝子の発現が誘導される傾向が観察された。 したがって、線虫個体は最大ピーク値1.7テスラまでの高磁場には比較的耐性であるか磁場による生体内変化を代償しうるものと考えられた。また、DNA合成・ミスマッチ修復・RNA転写反応のいずれも変動高磁場の影響をうけにくく、ピーク値1テスラまでの高磁場は変異原性に乏しいと推定された。ただし、磁場環境は生体ストレスとなりうる可能性が示唆された。
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