研究概要 |
Na^+,K^+ATPaseへの基質の結合とリン酸及びイオン輸送に伴う構造変化の関係を解析する目的で、本酵素に蛍光プローブを導入し、リガンド添加に伴う蛍光変化を測定した。50μMのPyridoxal 5'phospate(PLP)または、Pyridoxal 5'diphospho 5'adenosin(AP2PL)で本酵素を処理すると、PLPはα鎖Lys480に0.5mol/α chain結合し、ATPase活性とATPからのEP形成量は約50%に低下したが、Acetyl phosphate(AcP)からのEP形成能には影響を受けなかった。E2P蓄積条件下でAcPまたはATPを添加するとPyridoxal蛍光の増加が観察された。 E2P蓄積条件下25℃でPLP及びAP2PL修飾酵素標品にAcPまたはATPを添加し、蛍光変化をstopped flow法で、EP形成の経時変化をRapid quenching法で測定した。1mM AcP添加での蛍光増加とEP形成のrate constantは、PLP修飾酵素標品で各々2.48±0.33/s及び2.68±0.40/s、一方、AP2PL修飾酵素標品では各々1.24±0.15/s及び2.98±0.31/sと求められた。また、PLP及びAP2PL修飾酵素標品に10μMATP添加による蛍光増加のrate constantは、EP形成のそれの1/10以下の値となった。 以上の結果からAcP添加での蛍光増加は、PLP修飾酵素標品では見かけのEP形成を、AP2PL修飾酵素標品ではEP形成の後の現象を反映している。EP形成の後に起きる蛍光変化は、PLPが結合した酵素へのATPの結合を反映しているのか、ATPからEPが形成される50%の酵素とPLPが結合した酵素との相互作用を反映している可能性がある。 この点を確かめるために現在組立の終わった。3液混合迅速ロ過装置を用いてRb^+の結合量の測定を試みている。
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