本研究の目的は、英国Watkins博士及びデンマークKrogsgaard-Larsen博士の協力を得て、種々の新規グルタミン酸類縁体を合成し、これら類縁体のメタボトロピック・グルタミン酸受容体(mGluR)各サブタイプに対する活性を検証することによって、特異性の高いアゴニスト、アンタゴニストを開発し、又各mGluRサブタイプの機能を明らかにすることである。2年間の本研究によって種々のアゴニスト、アンタゴニストを同定し、受容体の構造・活性相関を明らかにした。 1. mGluRは8種類のサブタイプからなり、3群に分類される。それぞれのグループの代表的なサブタイプmGluR1、mGluR2、及びmGluR4/mGluR6を単独に発現させたCHO細胞を用いて、それらのsecond messengerの変化を指標に、22種類のフェニルグリシン誘導体の活性を検討した。これらの誘導体はベンゼン環に導入された官能基の種類と位置、及びαカルボキシル基とωアニオン基間の距離により一定の構造活性相関を示し、これらの因子が薬物活性やサブタイプ特異性に重要であることを明らかにした。 2.フェニルグリシン誘導体のαメチル化によりアゴニスト活性がアンタゴニスト活性に変化することを示し、さらにこの性質がフェニルグリシン誘導体以外のアゴニストにも適応可能かどうかを検討し、αメチル化の効果はリ-ド化合物もしくはサブタイプによって異なることを明らかにした。 3. Krogsgaard-Larsen博士から得た新規のグルタミン酸類縁体、特に2-amino-4 (3-hydroxy-5-methylisoxazol-4-yl) butyric acidに興味あるアゴニスト活性を示すことを明らかにした。
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