研究課題/領域番号 |
07558228
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 試験 |
研究分野 |
分子生物学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
青山 卓史 京都大学, 化学研究所, 助教授 (80202498)
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研究分担者 |
岡 穆宏 京都大学, 化学研究所, 教授 (10093212)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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キーワード | 形質転換植物 / カルモデュリン / CaMキナーゼI / CaMキナーゼII / グルココルチコイド / 転写誘導系 / CDPK / ランダムペプチド・ライブラリー |
研究概要 |
本研究では、短いオリゴペプチドがそのアミノ酸配列により多様な立体構造を模倣できるというリガンド模倣ペプチドの考え方をもとに、非ペプチド性のリガンドの受容体に対する相互作用をオリゴペプチドを使って模倣しようと試みた。まず、そのために必要なランダムペプチド・ライブラリーを大腸菌ファージM13mp18を利用して作成した。 このランダムペプチド・ライブラリーを検索することにより、カルモデュリン(CaM)に結合し、カルモデュリンを介するシグナル伝達を阻害する2種類のペプチド(ペプチド1:WDTYRISFおよびペプチド2:WPSLQAIR)を見出した。in vitro系においてペプチド1はCaMキナーゼIの活性を抑制したが、CaMキナーゼIIの活性は抑制しなかった。これとは逆にペプチド2はCaMキナーゼIIの活性を抑制したが、CaMキナーゼIに対する影響は少なかった。また、ペプチド1は植物由来のCDPKキナーゼの活性は抑制したが、ペプチド2は影響を与えなかった。これらの結果より、ペプチド1およびペプチド2はCaMが介する細胞内シグナル伝達に対してそれぞれ異なった影響を及ぼすペプチドであると考えられ、生体内においても特異的抑制効果を示すことが期待された。 さらに、それらのペプチドを生体内で発現させるために必要と考えられる遺伝子転写の人為的誘導系を形質転換植物において開発した。この転写誘導系は動物のステロイドホルモンであるグルココルチコイドの存在下でのみ強い転写活性化能を示すキメラ転写因子(GVG)とそれが認識するプロモーターから構成されている。ルシフェラーゼ遺伝子をレポーターとして行った実験では、この系はタバコおよびシロイヌナズナの形質転換植物体内で転写誘導系として有効に働くことが証明された。この転写誘導系は形質転換植物体内で、植物に多面的な影響を与えることなく有効に働くものとして現在唯一のものであり、模倣ペプチドの発現以外にも多くの用途に使用できるものと期待される。
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