研究課題/領域番号 |
07558235
|
応募区分 | 試験 |
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
渡辺 智正 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (10100174)
|
研究分担者 |
山下 匡 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助手 (30220338)
昆 泰寛 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (10178402)
|
キーワード | マウス / 雑種 / 不妊 / 流産 / 性染色体 / 精子形成 / 減数分裂 / 外挿 |
研究概要 |
スペイン産野生マウスMus spretus雄と、実験用マウスC57BL/6J雌の雑種F_1雄は不妊となり、妊性のあるF_1雌を用いて遺伝子マッピングしたところ、この不妊遺伝子はX染色体の最もテロメア側の位置にあることが同定され、Y染色体とのホモロジー(共通部分)を示す領域に含まれ、何らかの理由でペアリング(対合)異常になって減数分裂ができないものと昨年度までに推定されている。精子形成期に含有量が多く見られるカルモジュリンの免疫蛍光抗体法による染色により、middle pachytene期で精子形成障害の起こすincomplete spermatocyte arrestの症例であることが確認された。雑種不妊遺伝子を将来クローニングするために、コンジェニック系統(N12)を作製した。このコンジェニック系統を用いて、生後5〜30日の発生ステージでさらに詳細に解析した。異常はペアリングの完成するMI期(20日)よりも早い段階、すなわちペアリングの開始する(14日)ですでに観察された。さらにコンジェニック系統を作製する過程で、雑種間には流産を引き起こす遺伝子も存在することが判明した。流産を引き起こす雄の精巣組織切片の観察において精子は確かに作られているがかなり少ない精子減少症であった。また、私たちはデンマーク産野生マウスMus m. musculusと実験用マウスC57BL/6Jとの不妊現象が先程の症例とは違って2つの遺伝子が同時に関与することにより発症することを見い出した。雑種あるいは亜種間雑種における不妊現象には単に1つの遺伝子だけでなく、2つ以上の遺伝子が関与することを確認した。雑種不妊現象は単純なメンデル遺伝に基づくものではなく、遺伝子の相互作用と不適合に由来することが示唆された。
|