研究概要 |
本年度は前年度までの(1)画像平面内平行運動(IEEE TMI,1995)を発展させ,(2)画像平面内回転運動(MIT 1996),(3)画像平面内剛体運動(IEEE TMI,1996),(4)画像平面内呼吸運動(MIT 1997)について体動によるMRIアーチファクトを除去する方式およびプログラムの開発を行った.(1)-(3)については,臨床的な環境でその可能性を確認済みである.3次元剛体運動は頭部等でしばしば起こり,臨床的に重要である.これについては今のところ他では誰も成功していない.そこで我々は,上記2次元アーチファクト除去プログラムの開発経験をもとに,それを拡張して3次元剛体運動がある場合の問題に取り組んできた.そこで(5)以下のような方式(JAMIT Frontier'97,p.35)を開発した. スピンエコー法で多断面(3次元)画像を同時に撮影しておく.これらに対し,前記撮像断面内の回転を含む剛体運動に対するアーチファクト補正アルゴリズムを3次元に拡張したアルゴリズムを適用する.具体的には: (i)まず,MRIデータのスライス選択軸方向の1次元フーリエ変換を計算する. (ii)すでに導いた位相変動式を用いて3次元変位パラメータ推定値に対する位相変動を計算し,実MRIデータとの誤差が少なくなるように3次元変位パラメータ推定値を修正する. (iii)(ii)で位相修正されたデータをスライス選択軸方向に1次元フーリエ逆変換を行う. (iv)撮像断面内の剛体的並行移動の時刻と,エコー信号のフーリエ変換,すなわち周波数軸方向の移動より求める. 現在,実MRIデータの収集を従来の阪大病院放射線科の臨床用MRIのみでなく,機械技研の動物実験用MRIも加えて始めている. なお,前記画像断面内の回転を含む剛体運動に対するアーチファクト補正アルゴリズムは海外より移植希望がいくつかきており,インターネットを通して順次提供しつつある.これを利用して,その適用報告を集め,上記の3次元剛体運動アーチファクト補正アルゴリズムに反映させることを考えている.
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