研究分担者 |
三浦 裕正 九州大学, 医学部, 講師 (10239189)
日垣 秀彦 九州大学, 工学部, 助手 (00238263)
澤江 義則 九州大学, 工学部, 講師 (10284530)
大月 伸男 九州大学, 工学部, 助教授 (60127991)
広川 俊二 九州大学, 工学部, 教授 (80150374)
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研究概要 |
当初計画にほぼ沿った研究を実施し,まず,生体膝の非接触計測や非侵襲MRI計測により3次元他面形状データを収集し,曲面解析に基づき大腿・脛骨の形状設計・試作を行いシミュレータにより評価するシステムを構築した.このシステムを利用して,表面形状のリモデリング最適設計案を提案し摩擦と変形特性における優位性を提示した・また,シミュレータにより現用の臨床用各種人工関節と生体膝における接触面圧の相違を示し,現存の形状設計の諸問題点を指摘した.楕円接触となる形状については,とくに軟質材摩擦面を用いる場合に潤滑膜形成の相違が認められた.膝蓋部についても新型シミュレータにより屈曲位による接触状態の変化の計測を可能とした.臨床現象との関連については,膝関節シネラディオグラフィー法を適用し,歩行時の各部品間の接触部の相対関係き観測し,生体内での人工関節の実際の運動状態についても評価を可能にしつつある.さらに,屈伸時における大腿・脛骨部品間の転がり滑り運動の評価を設計プロセスにフィードバックすることにより最適設計を進めている.人工軟骨に関しては,脛骨部品用として,含水率の異なるPVAハイドロゲルおよびセミIPN系ハイドロゲル製人工軟骨について,シミュレータや摩擦試験によりトライボ性能を評価した.歩行条件では,潤滑液中に蛋白成分が存在すると,高含水PVAでは摩擦状態が非常に改善することが判明した.また,AFM(原子間力顕微鏡)により,摩擦面上における蛋白成分の吸着状態を観測することにより,各種材料のトライボ特性間の相違を評価することが出来た. 今後,従来材料製人工関節については,最適形状設計の指針を確立するとともに,人工軟骨系材料の改質を試みるとともに,広範な条件下での評価研究を進める予定である.
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