研究概要 |
本年度実施した研究成果は以下の通りである. 1.50μmのステンレス薄肉板に直径3μmから50μmの穴を開けたオリフィス板を模擬漏洩孔とし,空気,ヘリウム,アルゴン,窒素ガスを作動流体として用いて,上流側の圧力をパラメータとしてガスの漏洩率を計測する実験を行い,微小孔からのガスの漏洩率は通常口径のオリフィスから放出されるガスの流量の評価方法が適用できることを明らかにし,微小漏洩孔に対する臨界流条件と縮流係数を導いた. 2.内径10μmから50μm,長さ10mmの毛細管で漏洩孔を模擬し,空気,ヘリウム,アルゴンの窒素ガスを作動流体として用いて上流側の圧力をパラメータとしてガスの漏洩率を計測する実験を行い,微小孔からのガスの漏洩率は10^<-4>cm^3から0.1cm^3/sの範囲では層流の摩擦損失のみを考慮して評価できることを明らかにした. 3.1.と2.の結果から再現性を考慮すると,10^<-4>cm^3/sから0.1cm^3/sのガスの堆積漏洩率を計測用センサーとしては毛細管の方が適していることが判明した. 4.放射性物質の輸送容器の発送前検査における密封機能として問題となるOリング面の傷と毛髪などの異物質の付着による漏洩孔は,その数と形状を発送前検査では同定できないが,密封機能と密接に関連する10^<-4>cm^3/sから0.1cm^3/sのガスの漏洩率に対しては漏洩孔を1つの円管流路と仮定し,圧縮性を考慮した層流の摩擦損失で評価でき、D^4/a(Dは漏洩孔の等価直径,aは漏洩孔長)を発送前検査で評価すれば,輸送中の異なる条件に対してもこの特性値で評価できることを明らかにした. 5.放射性物質を内蔵するキャニスタの溶接部の漏洩に関して,10^<-6>cm^3/sから10^<-4>cm^3/sの極小ガス漏洩率については,分子流と粘性流の混在する流動特性であることを明らかにした. 6.使用済燃料の乾式中間貯蔵施設の格納機能監視システムについては拡散型圧力センサーの実用化の目処をつけた.
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