研究概要 |
本研究は,放射性物質の輸送物の発送前における密封性能検査,及び,使用済燃料の金属キャスク貯蔵における密封性能監視における高精度な計測システムを開発するとともに.ガスの微小漏洩率の評価法を確立することを目的に実施し,下記のことを明らかにした. (1)使用済燃料などの放射性物質の輸送物の発送前検査において要求される密封性能と密接に関係する10^<-4>から10^<-2>cm^3/sの微小ガス体積漏洩率を高精度で短時間に計測できるシステムとして,毛細管をセンサーとする「流量計測型微小ガス漏洩率計測システム」を開発し,事前にセンサー定数(D^4/a)を較正しておけば,空気に対して,10^<-4>から10^<-2>cm^3/sのガス漏洩率は5%の計測精度で計測できる. (2)放射性物質の発送前検査や使用済燃料の乾式キャスクによる中間貯蔵時の密封機能を同時に多点数を計測できる「圧力降下率計測型微小ガス漏洩率計測システム」を開発し,圧力センサーの直線性と温度依存性を調べ,-20°Cから80°C程度の圧力センサーの雰囲気温度の変化に対して±0.25%の精度で圧力降下率を計測できる. (3)微小径の管路を通過した後,凝縮が生じる低温面のみにより排気するガス漏洩率が10^<-4>cm^3/s以下の極小ガス漏洩率計測システムを開発し,性能を調べるための基礎実験と数値解析によるシミュレーションを行い,測定ガスとして単原子分子のAr,Xeを用いて,凝縮が生じる低温面を有する容器へのガス漏洩実験を行い,凝縮面の温度が凝縮係数に及ぼす影響を調べた.その結果から,本研究で提唱する計測システムが極小ガス漏洩率計測に有効であることが実証された. (4)ガスの蒸気圧の影響を考慮したモデル化を行い,DSMC法による数値解析への適用性を検討した結果,低温領域では凝縮係数が凝縮面の温度によらず一定の領域が存在する.
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