本研究は、動物実験による大脳皮質連合野研究の成果をふまえ、臨床研究のためのテスト装置とテスト・パラダイムを開発し、臨床における連合野機能の研究と動物実験による基礎研究の相補的発展を目指して行われた。前年度は、(1)単純反応課題、(2)遅延反応課題、(3)注意シフト課題のソフトウェアを開発するとともに、この課題のテストに用いるための2種類のハードウェアを用意した。タッチ・CRTを用いた設置型の装置は、大坂と吸収のリハビリテーション専門病院に設置し、昨年度よりすでに使用テストに入り、今年度も引き続き検査を実施した。また、その成果について学会発表を行った。携帯用の装置は、昨年度開発のソフトに不具合があり、今年度引き続き調整を行った結果、実用レベルに達し現在臨床テスト中である。さらに、昨年度の3つの課題のコントロールとして新たに(4)視覚弁別課題、(5)遅延見本合わせ課題の2つの課題を開発し、これも現在臨床テスト中である。これらの研究成果により、経験の少ない医師、作業療法士、理学療法士でも客観性と精度の高いデータを高次脳機能検査が可能なった。これらの研究と同時に、サルでヒトと同じ学習課題(遅延反応)を行ったときに頭表面から磁気刺激を行い課題遂行に及ぼす効果を検討し、運動前野にリーチング運動会誌を示す手がかり刺激を呈示した直後に与えた磁気刺激で反応時間の延長を引き起こす事を明らかにした。動物研究での成果と臨床奨励との照合については現在検討中であり、今年の夏の国際リハビリテーション学会で発表予定である。
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