ヒト染色体21番の疾病関連遺伝子の組織的検索と高精度地図作成

1997 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 07558295
• 研究機関: 理化学研究所
• 研究代表者: 添田 栄一 理化学研究所, ジーンバンク室, 副主任研究員 (00039330)
• 研究分担者: 細川 桂一 バイオ微生物研究所, 所長
• キーワード: 筋萎縮側鎖硬化症 / ダウン症 / PCRスクリーニング / 大腸菌人工染色体 / ショットガンシークエンス

研究概要

大腸菌人工染色体(PAC)がコスミドより安定、かつ、信頼できるゲノムクローンであり、かつ、シークエンスの直接材料になることから、平成9年度では、全面的にPACに切り替えた。すなわち、ヒト全ゲノムの約20倍量をカバーできるPACクローン52万株を導入し、PAC末端の直接シークエンスとPCRによる三次元スクリーニングを併せた染色体歩行法を確立した。ただし、この物理地図から遺伝子を同定するCpGタッグ法はまだ煩雑であり、これにかえPACのシークエンス解析が疾病関連遺伝子等の発見に効果的であると結論ずけた。具体的には
1.ダウン症領域に隣接するAML1-GART-筋萎縮側鎖硬化症(ALS)領域までの3.5メガベースをPACに置き換えたゲノム物理地図を完成した。
2.CpGアイランドを含む175kbのPACクローンの全シークエンスをショットガン法で完成した。その遺伝子解析から新規遺伝子としてCBR3と3つ偽リボゾーム遺伝子を発見、同定を行ない、ダウン症病原遺伝子の候補とした。

研究成果

• [文献書誌] Soeda,E.: "Cosmid Assembly and Anchoring to Human Chromosome 21" Genomics. 25. 73-84 (1995)
• [文献書誌] Miyoshi,H.: "Alternative Splicing and Genomic Structure of the AML1 Gene Involved Acute Myeloid Leukemia" Nucl.Acids Res.23. 2762-2769 (1995)
• [文献書誌] Osoegawa,K.: "An Integrated Map with Cosmid/PAC Contigs of 4-Mb Down Syndrome Critical Region" Genomics. 32. 375-387 (1996)
• [文献書誌] Osoegawa,K.: "Potential CpG-rich islands clustering around single-minded gene in Down syndrome critical region" Mammalian Genome. 7. 461-463 (1996)
• [文献書誌] Ohta,T.: "Isolation of a cosmid clone corresponding to an inv(21) breakpoint of a patient with transient abnormal myelopoiesis" Am.J.Hum.Genet.58. 544-550 (1996)
• [文献書誌] Osoegawa,K.: "A 19-kb CpG island associated with single-minded gene in Down syndrome chromosomal region." DNA research. 3. 1-5 (1996)
• [文献書誌] 添田栄一: "パルスフィールドゲル電気泳動法14「新遺伝子工学ハンドブック」" 羊土社, 106-110 (1996)
• [文献書誌] 添田栄一: "ヒトゲノム解析計画の成果と展望-ダウン症の病理解明-「Misc.Publ.Natl.Inst.Seric.Entomol.Sci.」" 蚕糸昆虫研, 13-22 (1996)