研究課題/領域番号 |
07559008
|
研究種目 |
試験研究(B)
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小久保 正 京都大学, 工学研究科, 教授 (30027049)
|
研究分担者 |
吉原 聡 日本電気硝子(株)生体材料開発室, 研究員
中村 孝志 京都大学, 医学部, 教授 (10201675)
宮路 史明 京都大学, 工学研究科, 助手 (80219782)
|
キーワード | 化学処理 / アパタイト / チタン合金 / アルカリ処理 / 生体活性 |
研究概要 |
研究目的:人工材料が骨と結合する性質、すなわち生体活性を示す条件は、生体内でその表面に骨類似のアパタイト層を形成することである。これまでに生体活性を示すことが知られている材料は、数種のセラミックスに限られている。本研究は、表面化学処理によりチタンなどの金属材料に生体活性を付与する条件を明らかにすることを目的とする。 研究成果:純チタン、Ti-6Al-4V,Ti-6Al-2Nb-Ta,Ta-15Mo-5Zr-3Al合金、SUS316Lステンレス鋼、Co-Cr-Mo合金の10×10×1mm^3の大きさの板上試料を、60℃の10M-NaOHあるいはKOH水溶液に24時間浸漬し、水洗乾燥後600℃で1時間加熱処理した。これらの試料をヒトの体液に等しいイオン濃度を有する36.5℃の擬似体液に浸漬すると、純チタン及びチタン合金はいずれも3週間以内にその表面に緻密で均質な骨類似アパタイト層を形成した。しかし、ステンレス鋼とCo-Cr-Mo合金は4週間後にもアパタイト層を形成しなかった。同擬似体液中でアパタイト層を形成する材料は、体内でもアパタイト層を形成し、それを介して骨と結合することが知られている。従って、チタン及びチタン合金は、適当なアルカリ及び加熱処理により、生体活性を示すようになると結論できる。これら金属表面でアパタイト層が生成する機構は次のように考えられる。アルカリ処理により金属表面にチタン酸アルカリ水和ゲル層が形成される。同層は加熱処理により脱水されチタン酸アルカリ層になる。この層は擬似体液中でアルカリイオンを溶出してヒドロニウムイオンを取り込み、水和チタニア層に変化する。水和チタニアはアパタイトの核形成を誘起する。こうして形成されたアパタイトの核は、周囲の液からカルシウムとリン酸イオンを取り込んで骨類似アパタイトとして成長する。
|