研究課題/領域番号 |
07559008
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
広領域
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小久保 正 京都大学, 工学研究科, 教授 (30027049)
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研究分担者 |
吉原 聡 日本電気硝子(株)生体材料開発室, 研究員
中村 孝志 京都大学, 医学研究科, 教授 (10201675)
宮路 史明 京都大学, 工学研究科, 助手 (80219782)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1997
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キーワード | 化学処理 / アパタイト / チタン金属 / アルカリ処理 / 生体活性 |
研究概要 |
NaOH水溶液に浸漬した後600℃で加熱処理した純チタン、Ti-6A1-4V、Ti-6A1-2Nb-Ta、Ta-15Mo-5Zr-3A1合金、SUS316Lステンレス鋼、Co-Cr-Mo合金をヒトの体液にほぼ等しいイオン濃度を有する36.5℃の擬似体液に浸漬すると、純チタン、チタン合金、はいずれも短期間にその表面に緻密で均質な骨類似アパタイト層を形成した。しかし、ステンレス鋼とCo-Cr-Mo合金はアパタイト層を形成しなかった。アルカリ水溶液処理したチタン及びその合金が擬似体液中でその表面にアパタイトを形成するのは、擬似体液中でそれら表面に形成された水和チタニアゲルがアパタイトの核形成を誘起すると共に、表面層から溶出するナトリウムイオンが擬似体液のアパタイトに対する過飽和度を上げてアパタイトの核形成を促進するからであるためと考えられる。純チタンについて、NaOH水溶液濃度が擬似体液中におけるアパタイト形成に与える影響をその後の加熱処理をせずに調べたところ、いずれの試料についてもその表面にアパタイト層が形成されたが、アパタイト形成に要する擬似体液中への浸漬期間は、NaOHの濃度が高くなるにつれ短くなった。これは、NaOH水溶液の濃度が高いほど、ナトリウムイオンを多量に含む水和チタニアゲルが形成され、これが多量のナトリウムイオンを溶出し、擬似体液のアパタイトに対する過飽和度を急速に高めるためと考えられる。しかし、表面のゲル層は、外力により容易に剥離した。そこで、NaOH水溶液処理後のチタン金属を600℃付近で加熱処理すると、その高いアパタイト形成能を保持しつつ、機械的に弱いゲル層を安定なアモルファス層に改質できることがわかった。さらに、同様のアルカリ水溶液処理によりタンタル及びジルコニウム金属も擬似体液中でその表面に短期間でアパタイトを形成した。したがって、本化学処理法は、種々の金属材料に生体活性を付与するためのきわめて簡単で有効な方法であると結論できる。
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