研究概要 |
低酸素エンハンサー・プロモーター・EPOcDNAを連結したDNA断片を含むプラスミドを構築した。この際に、エンハンサー・プロモーターの組合の転写活性への影響を調べるため、種々のプロモーター(動物細胞による組換え型蛋白質生産によく使用されるSV40、CMV、MuLVなどのウイルスのプロモーターやEPO遺伝子のプロモーター)を使用した。エリスロポエチン(EPO)遺伝子の転写を低酸素で活性化する低酸素エンハンサーについては、既にクローン化したDNA断片を取得した。低酸素エンハンサー・プロモーターの全ての組合せを構築し、複数の細胞に導入するのは非常に煩雑である。まずエンハンサーの効果について解析した。エンハンサーを1〜4個タンデムに連結したものおよびEPOのプロモーターをβガラクトシダーゼ遺伝子に連結したプラスミドを構築した。これらのプラスミドをEPO産生細胞Hep3B及びEPO非産生細胞COS1細胞に一過性に導入し、転写活性の指標として活性染色を行った。その結果、エンハンサーを1個接続したものに比べて2個4個をタンデムに接続した方がエンハンサーとしての機能は高く、効率的にエンハンサーの機能を発揮できた。以後の研究ではエンハンサーを4個接続したものを用いた。また使用するプロモーターとしては、CMV,EF-1αを用いた。単に酸素圧に依存した代謝活性の変化に起因する転写活性の変動と真に酸素圧の変化に起因するエンハンサー活性の変動とを明確に識別するために、ノーザンハイブリダイゼーション法や定量的RT-PCR法によるEPOmRNAの定量法の開発を行った。
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