研究課題
基盤研究(A)
本研究は、光検出器としてのCCD(電荷結合素子)の性能をその理論的限界にまで高め、高感度、低雑音、大規模CCDを製作するための技術開発要素について、試作に基づく具体的な開発研究を行い、天体観測の効率を大幅に向上させる道を拓くことをその目的として企画した。1991年度から9年計画でハワイ島に建設中の口径8mの大型光学赤外線望遠鏡「すばる」など次世代の最先端望遠鏡に取り付ける光学観測装置には、画素数800万画素、画素サイズ15um角、3方向モザイク化可能、紫外高感度の裏面照射型、読出雑音3電子相当以下(スロースキャン時)、150K冷却時に無暗電流、画素欠陥無し、など厳しい要求仕様の大型CCDを開発し使用する計画である。本研究により得られた具体的成果としては、次の4点が挙げられる。1)エッチング処理法や表面のアキュムレーション法について具体的な検討が進み、裏面照射型CCD素子の製作法の基本的道筋を確立することができた。2)反射防止膜形成法の検討により、CCDの量子効率を実質的な理論限界に近いレベルにまで向上させることに見通しが得られた。これらの工夫により量子効率が国際的にみても第一級のCCDを試作することに成功した。特に紫外線領域の量子効率の高さは海外で実線のあるCCDに比べても群を抜いたものとなった。3)大型モザイクCCD素子の制作法についても問題点を明らかにすることができた。4)CCD素子の性能評価システムを完成し、さまざまな工程でできあがったCCDの評価を迅速に行えるようになった。以上のように、小型ではあるが裏面照射薄型で世界最高の量子効率を持つCCDの製作と、表面照射型大型CCDの製作に成功したことにより、裏面照射大型薄膜CCD素子の製作に向けての基本的課題をクリアすることができた。
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