本年度は、昨年度におけるビュフォンの自然誌研究それ自体を中心とした科学史的調査研究を踏まえて、引続き必要不可欠な資料収集を行いながら哲学史的調査研究を行った。 第一に、同時代の方法論的論議に関して、啓蒙期のフランスにおける、デカルト派とニュートン派との対立といわれる事態の内実の再検討や、ベ-コン主義の復活といわれる事態の再検討を通じて、その中でのビュフォンの位置の確定に努め、一定の成果を収めることができた。 第二には、一方では、十七世紀以来の様々な思想的系譜の中、他方では、同時代の様々な思想的潮流の中での、より広い思想史的連関におけるビュフォンの位置づけを試み、その成果の一端を、デカルトから、ビュフォンと同時代のヒュームに至る、ヨーロッパ精神史を概観する論文や、ビュフォンの同時代人ヒュームの宗教論の性格を明らかにする論文として、発表することができた。
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