雲笈七籤の諸版本の調査及び諸版本の校合を踏まえての本文解読とその典拠調査を進めた。 諸版本の調査としては、宮内庁書陵部所蔵本ならびに北京図書館所蔵抄本の精しい調査をしたが、これまで、上海版道蔵と異なるところが多いとされていた宮内庁本が、雲笈七籤に関する限り、ほとんど相違するところがないことを確認したこと、北京図書館蔵本が、序、巻一から巻十、巻五十から巻六十、巻一百十四から一百廿二までを存する不全本で、抄写者もそれぞれ異っているが、上海版道蔵等の文字の異同を考える材料となることを確認したことを特筆報告しなければならない。本文解読、典拠調査は、現在作業進行中であり、格別の発見はないが、道蔵本と清真館本とを対照して、清真館本がきわめて粗雑なテキストであること、道蔵本にも問題が残っていることを改めて確認している。
|