研究課題/領域番号 |
07610015
|
研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
山田 利明 東洋大学, 文学部, 助教授 (30104897)
|
研究分担者 |
遊佐 昇 明海大学, 外国語学部, 助教授 (40210588)
川崎 ミチコ 東洋大学, 文学部, 助教授 (30186085)
|
キーワード | 道教 / 仏教 / 儒教 / 中国中世 / 信仰 / 宗教 |
研究概要 |
中国中世の信仰の基盤は、六朝の仏・道信仰にある。この時代に、仏教や道教が中国の伝統的な意識にもとづいて形成した信仰に、現世利益の信仰があり、仏教は懺悔の思想による齊法を用い、道教もまた懺謝による齊法を整えて、現世利益追求の側面を確立した。道教は以後一貫してこの姿勢を保ち続けるが、一方の仏教は、これを輪廻転生・因果応報の思想の中で解釈し、方便としての現世利益を説いた。今日的視点から見れば、こうした中国的信仰意識は、多く偽経(中国撰述経典)によって説かれたもので、そこには現世・来世に跨がる効験が記されている。 本年度は、山田は六朝における信仰の正統性を論じ、知識人階級の信仰の在り方を明らかにし、川崎は中国撰述経典の持つ中国的特異性を明らかにして、中国仏教の持つ信仰形態を論じた。また、遊佐は現世利益をより庶民的レベルでとりあげ、霊験譚を素材としてその語彙の分析を行い、仏教用語や道教的語彙を抽出して言語意識からの信仰意識を論じた。 本年度は、この研究の最終年度にあたるので、詳細は成果報告書に記すが、三教合一の宗教基盤にあってその価値観を支えたのは、儒教的倫理であり道徳観であったという事実であり、仏教や道教の死者救済の信仰もこれを基盤とする。ここでは社会的道徳観がそのまま宗教的道徳に置き換えられた過程が明らかとなる。
|