研究実施計画は、第一に女性雑誌や新聞(副刊)から(新)良妻賢母主義に関する資料を求めその論争内容を分析し、考察したものをまとめること、第二にその論争が、日本の女子教育思想とかかわること、第三に、さらに同時期の中国国民党の女性政策と関連しているかどうか明らかにし、政策の背景となった新生活運動や復古運動とあわせて探ってみることであった.それらの中で、YWCA系の女性雑誌によるキリスト教の家族観の影響が多きいことが明らかになった. 研究過程で、資料収集と研究上の便宜をはかる必要上、1989〜1949年の中国女性を対象とした定期刊行物に関してその内容と特徴をまとめ、出版年表を作成した. 研究活動としては、北京での世界女性会議中「伝統社会と女性」のフ-ォラム(1994年北京大学で開催したシンポの継続)に参加・また3年近く準備したアジア女性史国際シンポ(実行委員、事務局)を'96年3月16、17日に開催した.責任担当した分科会は「思想・宗教と女性」であったため、研究課題との関連性がはかれた.今迄交流の少なかった台湾の研究者とも交流が実現し、今後共同テーマで研究を進めることができる見通しである。
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