4人の開眼受術者To M、Ka M、Ya K、Ha Tについて歩行活動ならびにそれを支える下位機能の形成実験を行った。 1.開眼受術者To Mについて (1)眼による"深みの知覚"が成立していないために、歩行の際、下り階段の発見が困難であった。駅や公園において下り階段を発見するためにどのような手がかりを抽出するかについてデータを集積した。 (2)遠方対象を捉えるときの眼球運動をEGO法によって測定した。対象の提示距離を遠方にすると不随意的な眼球運動が現れてくる。 2.開眼受術者Ka Mについて (1)2つの対象の"遠近知覚"は対象の提示距離によってその知覚様相が変化する。 (2)歩行の際、場所によって視覚あるいは触覚のいずれかに依拠する 3.開眼受術者Ya Kについて (1)先天性難聴を伴うYa Kは、移動の際に当初歩行が困難で、寝た姿勢のまま移動していたが、立った姿勢で見る課題を行うと立位が可能になり、他者の支えがあれば立って歩くことができるようになった。 4.開眼受術者Ha Tについて (1)先天性難聴を伴うHa Tは歩行は可能だが、眼による日用品の同定が困難であった。色彩課題、形課題の順序を踏むと、徐々に日用品の同定ができるようになった。
|