研究概要 |
初年度・2年度に引き続き「瞬目の視覚機能」についての実験研究を遂行してきた.3年間にわたっていくつかの「視覚機能」に即して瞬目を検討してきたが,特に「暗闇における瞬目の振る舞い」に関しては,今年度はさらに新たな傾向が明らかになりつつある.つまり,前年度の報告で報告した暗順応にまつわる瞬目の振る舞いについての(1)〜(3)の要点の中で,(2)と(3)はほぼ確かめられたが,(1)については,どうもある程度の差,つまり「傾向」程度の差はあるのではないか,という結論に至っている.つまり,暗闇という視覚機能が関与しない状況下ではやはりある程度瞬目は減少するのではないか,ということである.しかし,有意差が得られるほど著名な変化はしない,というのが結論である.言い換えれば,「視覚機能」の一部の役割を瞬目は果たしている,といえるのである. このようにして,順調に本研究は遂行されてきたが,今年度から新たに別の研究費による「瞬目の性差」に関する研究も平行して遂行することになり,やや進行に支障が出始めた.というのは,この新しい研究は「性周期」に着目した研究になるため,比較的長期の縦断的な研究で,12週間,3ケ月間の生理指標や行動指標の観察を必要とする実験計画になった.その結果,データの量が膨大になり,短期間でこれを処理することは困難になり,「視覚機能」に関する最終のデータの解析が終了しないで,研究費の援助期間が切れることになった.この事情は「研究経過報告書」の通りである.あと半年のデータ解析を経て,最終的な報告ができるものと期待している.
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