研究概要 |
1995年度は、幼稚園年長組幼児28名(男16名、女12名)と年中組幼児24名(男11名、女13名)を対象として、6月、11月、3月の3期にわけて、以下の実験を行った。 成功・失敗が個人のスキルによって左右されるスキル課題における幼児の結果の予測行動を調べるために、輪投げ課題を用いて、課題を実施する前の事前予測と、次の機会における成績の予測を幼児に求めた。また同様の手続きにより、成功・失敗がまったくの偶然により左右され、個人のスキルが介在する余地のないチャンス課題における予測行動をくじ引き課題を用いて調べた。 6月と11月のデータ(3月のデータは現在分析中)から得られた主要な結果は以下の通りである。 年長児・年中児、および遂行前の成績の予測、遂行後における次回の成績の予測、のそれぞれについて、結果を、2(課題の種類;くじ引、輪投げ)×2(調査時期;6月、11月)の2要因配置で分散分析を行ったところ、年長児の遂行前の成績の予測についてのみ調査時期の主効果がみられた(F(1, 102)=10.36, p<0.01)。つまり、スキル課題である輪投げにおいても、チャンス課題であるくじ引きにおいても、年長児は6月時点より11月時点の方が、有意に高い成績をあげられるだろうと事前に予測していた。しかしこの結果が、発達的要因によるものか経験の要因によるものかは、今回のデータだけでは判断はできない。また課題の種類による予測行動の違いは確認することができず、スキルとチャンスの事象の相違を年長・年中児はいずれも知覚していなかったことが示唆された。
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