研究概要 |
平成7年度における幼児の予測行動の分析から,年齢段階(年長・年中)、課題の種類(輪投げ・くじ引き)にかかわらず、自分の将来の成績の予測において、過大評価の傾向があることが明らかになった。そこで本年度では,予測行動における個人差を明らかにするために,課題遂行行動を8ミリビデオを用いて記録し,その課題遂行行動の個人差と予測行動との関連性について分析を行った。 その結果,スキル課題である輪投げにおいては,年長・年中にかかわらず,男児の方が女児よりも,前予測,遂行成績,次予測いずれも高く,また遂行行動の行動観察に基づいて得られた達成意欲得点も,男児の方が高いことがわかった。この結果より,就学前の年齢段階で,すでに達成あるいは競争場面における動機づけに性差が見られることが確認された。また,輪投げ遂行時にはsmileは観察されなかったが,くじ引き遂行時には頻繁に観察され,男児の方がsmileの生起率が高い傾向にあった。このチャンス事象に感じる「おもしろさ」に見られる性差は,コントロール欲求の発達を考える上で,興味深い結果であると言える。
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