本研究では、女性高齢者の外見的特性の評価がどのような要素や特性に基づいているかを検討することを目的とした。また、女性高齢者の外見的特性を評価する手がかりとして、どのような要因が重視されているかを検討した。さらに、高齢者・一般会社人・大学生では女性高齢者の外見的特性の認知にどのような差異があるかを検討することを目的とした。女性高齢者の外見的特性の評価に関する調査票を設計し、「女性高齢者で、外見的特性の優れている人物とそうでない人物」の諸特性について評価することを求めた。なお、本研究における最終的な分析対象者は、高齢者が585名(平均71.3歳)、一般社会人が312名(平均47.6歳)、大学生が409名(平均19.9歳)であった。本研究の主要な結果は、以下の通りである。 1.外見的特性の優れている女性高齢者はそうでない女性高齢者に比べて、高齢者・一般社会人・大学生ともに全体的にスタイルが良いと認知され、社会的地位が高く、好ましい人物と見なされていた。 2.外見的特性の優れている女性高齢者に対するイメージを因子分析した結果、各回答者層に共通して「積極性」と「成熟性」の2つのイメージ因子が抽出された。 外見的特性の優れている女性高齢者のイメージを規定している要因を特性するために重回帰分析を実施したところ、各回答者層ともに積極性のイメージには装飾性の要因、成熟性のイメージには洗練性の要因が強い影響力を有していた。これに加えて、成熟性のイメージには高齢者及び一般社会人で体型の要因がマイナスに影響し、一般社会人では装飾性の要因もマイナスに影響していた。これに対して、大学生では日本的趣味性の要因が成熟性のイメージにプラスに影響しており、各回答者層で異なる結果も見出された。
|