脳性麻痺児の適応技能の発達を、社会成熟度診断検査及びS-M社会生活能力検査により測定し、年齢横断的調査を1年間の追跡による縦断的調査によりデータを収集した。 全国数カ所の肢体不自由児施設に入所している脳性麻痺児226名(男110名、女116名、平均年齢11.5歳)に対して行った社会成熟度診断検査では、(1)暦年齢相当の発達が見られないこと、(2)骨・関節疾患児に比較しても発達が遅れていること、(3)検査粗点の増加が12歳頃から停止することなどが明らかになった。年齢横断的視点からは、低年齢のとき(11歳以下)は累積モデルが妥当するが、思春期以降は累積モデルでは説明が難しいと言える。 東北と関東の肢体不自由児施設に入所している脳性麻痺児75名(男44名、女31名、平均年齢12.3歳)に対してS-M社会生活能力検査を行い1年間追跡した縦断的研究では、(1)全体として1年間に約3ヵ月分の社会的発達が見られた。(2)社会生活年齢が増加する領域と停滞ないし減少する領域があった。(3)社会生活年齢の1年間の変化は暦年齢に対して有意な負の相関を示した。などのことが明らかとなった。概ね10歳以後に発達は停滞し、累積的モデルはそれ以前の年齢にのみ妥当した。
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