研究概要 |
研究計画にしたがって青年後期(大学生)と成人後期(40〜50歳代の社会人・主婦)の人々を対象に質問紙調査を実施した.現在までに次のような知見が得られている. 1.大学生の自己同一性のあり方は,他者からも認められるかどうか,良好な人間関係が保たれているかということと密接な関連がある. 2.同様の傾向は成人後期の人々においても見いだされたが,単に他者との関係だけではなく,その中で自分をどう確立していくかということが課題であり,生きる目的のひとつになっている.しかし,社会適応能力は高い一方で,そうした自己確立について問題を共有できる場がないことに不満を抱いている. 3.大学生は,自己同一性を確立すると同時に社会適応能力を身につける時期として青年期を認識している.しかし,自己同一性への欲求,自信を与えてくれる集団の希求は強い一方で,そうした場を自分で見つけられないことに葛藤を抱いている者も多い. 研究計画にそって,今後は青年後期と成人後期の人々を対象とした面接調査(分析中)から,それぞれの発達段階に応じた自己同一性の確立・総合のダイナミックなプロセスについて明らかにする.同時に,これまでの知見とカウンセリング学習の技法を応用したグループ・セミナーを実施してその効果を検討する.
|