本研究は、青年の心理について生活感情の面からアプローチし、青年心理の理解を深めることを目的としている。青年心理を感情面から理解するには、個別の生活感情の研究ばかりではなく、多種の生活感情を同時に扱った研究を行なうことが必要である。本研究では、目的を次の3点に分け、研究が進めている。(1)青年心理を理解していく上で不可欠である生活感情を、探索的な実証的研究によって明らかにする。(2)それらの生活感情の関連構造を解明する。(3)(2)で解明された生活感情間の関連構造の分化・統合過程を、発達的に究明する。 (1)感情に関する従来の研究は、形容詞などを辞典などから集め間接的な資料収拾によって研究が始められている。そこで、本研究では、形容詞などではなく生活感情そのものを表現する感情名を、青年から直接収拾することから研究を始めることにした。そのために、青年を対象に直接、面接法および文章完成法を用いて生活感情語を収拾した。それをKJ法を用いて分類・整理し、青年期における生活感情リストを作成した。 また、(2)(1)で作成した感情リストにあげられた生活感情間の関係を解明するために、約1200人を対象にした調査を行った。その調査では、各感情を青年が感じている程度を調べた。その回答の類似度をもとにして多変量解析を行い、プロマックス法を用い、プロクラテス回転をする因子分析を用いて、感情間の関連構造を分析・解明した。 高校生についての研究をまとめたので、学会の学術雑誌に投稿し、審査を受けた結果、採択となり、1月に機関誌に掲載されたところである。 平成8年3月現在では、上記のようにな研究実績をあげている。
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